七輪のこだわり 6 牛肉の赤身

牛肉といえば脂ののった上カルビが大好物だった若いころ。今では最初の数切れで十分で、脂が重くてたくさん食べられなくなった代わりに、脂の少ない赤身の美味しさに気付いてしまった。和牛、国産、アメリカ産、オーストラリア産、部位によって味や見た目、食感も違うが、ここでは七輪での焼き方や簡単に美味しさをまとめる。

購入から拘る

購入はスーパーで良いが、できれば精肉店で食べたい量をグラム単位で注文したい。自分の食べたい量を美味しく食べられる。また、カットされたバラ売りは便利だが、本当に自分好みのサイズカットか?ここは拘りたいところなので、ブロック(塊)購入して食べる直前で好きなサイズにカットする。

上の写真はカイノミといってバラの中でヒレに近くバラだけど、ヒレの赤身の柔らかさもあるところ。あっさりとした味でさしサシ(霜降り)から簡単にかみ切れて鯛の煮つけのような弾力。

味付け

拘るからこそ、味付けは塩とコショウ一択!とはいっても、味塩コショウではなくミル付きの(粉砕できる)塩は岩塩、胡椒はブラックペッパーと分けて使用したい。塩オンリーもできるし、胡椒大め、少なめと調整できる。振り方は、最初に焼いていない肉面にゴリゴリとミルを捻って振るだけ。

焼いた後でも良いが、ペッパーが剥がれやすい。最初に振ることで生肉の水分や脂に塩、ペッパーがうまく貼り付いてくれる。

好みに合わせた焼き方

人によってはしっかり焼きたい人もいるが、赤身は焼くほど固くなってしまうので、焼きすぎには注意。自分は表面だけ炙ってほぼ生で食べてしまうほどレアが好きだ。赤身はレアでこそ柔らかさと本来の味が楽しめる食材だと思っている。

肉の部位

ヒレ(写真上の上)・・・背中の肋骨の内側にある運動量の少ない柔らかい希少部位。脂が少ないのに柔らかく、癖がなく万人ウケ高級品。脂ではなくて肉の柔らかさでとろける。

イチボ(写真上の下)・・・もも肉に分類されて、お尻側の部位。サシ(霜降り)が入って柔らかく、肉のジューシーさが伝わる。当たり障りなく牛肉のあと味が残り、噛めば噛むほど味が出てくる。



ランプ(写真上)・・・イチボがモモからお尻にかけてに対し、ランプは背中からお尻にかけて。イチボよりサシが少なく、柔らかくもありあっさりとしていくらで食べれてしまう。安定した歯ごたえと食べ応え。

しんたま(写真上の上)・・・シンシンともいう。後ろ足の付け根で内股の下部にあたる肉。あっさりとした味にコクもあって歯ごたえも抜群。柔らかいビーフジャーキーを食べているような感覚で、焼き過ぎは極端に固くなるので注意。

ミスジ(写真上の下)・・・スーパーでウデと記載されるときが多い。固い肉質のウデのなかでも最もサシが多い部位。真ん中に線が入っていて見分けがつきやすく、葉っぱのよう。噛んだときの脂がさらさらとスムースで柔らかく簡単にかみ切れる。赤身の中では脂こってりしているが、肉のコクはあっさりと全体的にバランスが良い。国産と和牛で極端に脂の差がでる。個人的には国産の脂で十分だ。

カメノコ(写真上)・・・しんたまの外側で体表に覆いかぶさる筋肉部位。切り口が亀の甲羅に似ていることからこう呼ばれている。ぱさぱさと繊維が多いために歯ごたえは良いが焼き過ぎには注意。生ハムに使われる部位でもある。焼くとソフトビーフジャーキーのような触感で、濃厚に繊維を食べている感覚になる。

トウガラシ(写真上)・・・肩から腕にかかる肩甲骨あたりの部位。唐辛子に形が似ているからこう呼ばれている。すじや繊維が多く、固いと思いきや、柔らかくて食べ応えもワイルド。肉汁に赤身の旨味が詰まっている。この写真は和牛でこってりしているように見えるが、肉汁はあっさり。ローストビーフに向いているようだが、柔らかくレアで焼いてガッツリ食べるのがおすすめ。値段も希少部位なのにリーズナブルな方だ。

タン(写真上)・・・焼き肉の序盤の定番。牛の舌。よく薄切りで焼いてレモン汁で食べるが、個人的には厚切りレモン無しが好み。脂が少なく何とも言えない歯ごたえとあっさりとした味は万人受けと思われる。この肉ほど切り方によって食感が変わるものはないだろう。あまり厚くカットすると中が焼けずにただ固いだけになるので、ぎりぎり中まで焼ける厚さがよい。噛み切り方にも技術がいる。ただ噛むだけでは噛み切れない。筋にあわせて噛み、顔を少し横に向いてピラニアのように噛み千切るような感覚で分離させるのがコツ。

シャトーブリアン(写真上)・・・キングオブジュエルミート。牛から約3%としか取れないヒレの中央部にあり、わずか600gしか取れない希少部位。また、一番運動量の少ない部位なので最も柔らかい。きめ細かいサシが入っているのに対して脂は少なめで相手を選ばない。上の写真は国産と和牛で、その違いを食べ比べした。

国産シャトーブリアン(写真上)・・・筋が見えるが焼くと肉に溶けて消える、赤い部分にも見えない細かい脂が繊細に染みている。カットするときからすでに柔らかく、逆に切りにくい。明らかな噛み心地、口の中でのとろけ具合、納得のいくキングミート。いつ飲み込んでも良いくらい。味はあっさりと、こんな肉を500gくらい一気に食べてみたいものだ。

和牛シャトーブリアン(写真上)・・・カットするとき、まるでマグロの中トロみたく柔らかすぎて困難。見た目ほぼ大トロ。脂ギッシュすぎてどうなのか?少しためらうが、さらさらと脂とは思えないスムースな味。肉からあふれるスープだと思えばよい。柔らかすぎて噛みごたえが繊細、リッチ。

赤身好きな自分は高級度に関係なく、国産の方が好みであったが、またやってみたい食べ比べ。

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